「また承認待ちで止まってる…」月末が近づくたび、私の胸は締め付けられた。経費精算、稟議書、休暇申請。Googleフォームで受け付けてはいるものの、その後の承認作業は全て手動だった。各部署の承認者へ個別にメールを送り、返事を待ってはスプレッドシートを更新する。まるで、一人で何十人もの交通整理をしているような感覚だった。焦燥感と、いつ終わるともしれない業務の波に飲み込まれる日々。デスクには「承認待ち」の書類が山積みになり、そのたびに「なぜ私だけがこんなに振り回されなきゃいけないの?」と、心の中で何度も叫んだ。
特に酷かったのは、半期に一度の設備購入申請だ。複数の部署長の承認が必要で、誰か一人でも返信が遅れると、全体のスケジュールがずるずると後退する。催促メールを送るたび、申し訳なさよりも、言いようのないイライラが募った。ある日、重要な申請が部長の長期出張で完全にストップし、納品が大幅に遅れてしまった。「このままでは、会社全体の損失につながる…」と、胃がキリキリと痛んだ。夜遅くまで残業し、家に帰ればぐったり。子供の寝顔を見るたび、「このままでいいのか…この業務のせいで、家族との時間まで犠牲にして…」と自問自答する日々だった。
以前、別の部署で高価なワークフローシステムを導入したと聞いたが、うちの部署では予算が厳しく、とても手が出せない。情報システム部に相談しても、「既存のExcelとメールで何とかしてください」の一点張り。毎日、山積みの承認依頼と、それらに追われる同僚たちの疲弊した顔を見るたびに、「この悪循環を断ち切る方法はないものか」と頭を抱えていた。「もうダメかもしれない。この業務改善は、私には無理だ…」と、半ば絶望していた。
そんな時、たまたまITに詳しい友人とランチをした際、彼が何気なく口にした「Google Apps Script(GAS)」という言葉が、私の耳に飛び込んできた。「Googleフォームとスプレッドシート、Gmailを連携させて、承認フローを自動化できるらしいよ。無料で使えるし、意外と簡単だよ」その言葉は、まるで暗闇に差し込む一筋の光のように感じられた。正直、プログラミングなんて全くの未経験。最初は「私にできるわけがない」と尻込みしたが、このままでは現状は何も変わらない。藁にもすがる思いで、GASの世界に足を踏み入れた。
最初は手探りだった。ネットの情報を読み漁り、YouTubeのチュートリアル動画を何度も見返した。エラーが出るたびに心が折れそうになったが、「ここで諦めたら、またあの地獄の日々に戻るだけだ」と自分を奮い立たせた。そして、ついに完成させたのだ。Googleフォームが送信されたら、その内容をトリガーにしてGASが自動で動き出す。そして、設定しておいた承認者へ、申請内容と「承認」「却下」ボタン付きのメールを自動で送信する。承認者がメール内のボタンをクリックすれば、その情報がスプレッドシートにリアルタイムで反映され、ステータスが「承認済み」に変わる。もし一定期間返信がなければ、自動でリマインドメールを送る機能も追加した。まるで魔法のようだった。
実装後、まず最初に変わったのは、私の心の状態だった。月末のあの重苦しい「承認待ち」のプレッシャーから解放されたのだ。業務効率は劇的に向上し、残業も大幅に減少。同僚たちも「申請がスムーズになった」「承認状況が分かりやすくて助かる」と喜んでくれた。何より、家族との時間が増え、子供の笑顔を以前よりもたくさん見られるようになったことが、私にとって最高の報酬だった。
GASは、専門的な知識がなくても、あなたの「こうなったらいいのに」を形にする力を持っている。あの「待ったなし」の承認業務に悩まされているあなたへ。一歩踏み出す勇気さえあれば、Google Workspaceの秘めたる力が、きっとあなたの業務を、そして人生を変えるはずだ。もう、「待ち」に悩まされる日々は終わりにしましょう。
